太陽の塔とEXPO’70パビリオンを見学して
2025.10.20
先日、初めて万博記念公園を訪れ、「太陽の塔」と「EXPO’70パビリオン」を見学してきました。 公園の中心にそびえる太陽の塔は、実際に目にすると想像以上に大きく、存在感に圧倒されます。 彫刻とも建築とも言い難い、まさに“造形の力”そのものが立ち上がっている印象でした。



太陽の塔には「4つの顔」があり、それぞれが過去・現在・未来を象徴しています。 頂部の「黄金の顔」は未来を、正面の「太陽の顔」は現在を、背面の「黒い太陽」は過去を表しています。 そして内部に展示されている「地底の太陽」は、生命の根源を意味するそうです。 この4つの顔を通して、人間の歩みと時間の流れを空間的に表現している点にも、岡本太郎の壮大な構想力を感じました。 単なる造形ではなく、思想そのものが建築的に立ち上がっているように思えます。




内部に入ると、塔の中心には「生命の樹」がそびえ立ち、生命の進化をテーマに空間全体が構成されています。 照明や音響の演出も巧みで、単なる展示空間ではなく、空間全体が一つの“体験装置”として機能していることに感動しました。 特に印象に残ったのは、腕の部分の構造です。 外から見ても大胆な造形ですが、内部から見るとその構造がどのように支えられているのかがわかり、建築的にも非常に興味深い。 有機的なフォルムの中にしっかりとした骨格があり、芸術と構造が見事に融合していました。50年以上前の技術と発想でこの形を実現したことに、改めて日本のものづくりの底力を感じます。


続いて訪れた「EXPO’70パビリオン」では、大阪万博当時の資料や模型、映像が展示されており、当時の熱気が伝わってきました。 建築群ひとつひとつに、未来への希望と挑戦のエネルギーが宿っていたことが感じ取れます。 “建築で未来を描く”という当時の精神は、今の時代にも通じるものがありました。



太陽の塔もEXPO’70パビリオンも、ただの観光スポットではなく、建築やデザインに携わる者として多くの刺激を受ける場所でした。 人々が「未来」を信じて形にしていたあの時代の力強さを、改めて心に刻む見学となりました。